第1稿 創造の神々
①ナンム
アンとキをはじめ、太古の神々を産んだ大母神。またはエンキの母でもある。
ナンムはエングル(アブスの項参照)と同じ文字で書かれることから、元来は地底の真水の大海が神格化されたものと推定される。
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ナンムが単純に物質化した海の女神ではなく、「地底の真水の大海」の女神、宇宙生成の星雲の創造主と考えるべきであろう。
②アブズ(アプスー)
1、泉、井戸、小川、川、湖といった水に関わる場所には、アブズ(アプスー)あるいはエングルという地底にある淡水の海から清水を流出すると信じられていた。
2、バビロニア創造神話ではアプスーはティアマトの愛人として、原初から存在していたという。
3、また、アプスーとは特別な場所をさす。文明を司り、宇宙や社会の掟を管理する神エンキ(エア)とその配偶女神ダムガルヌンナ(ダムキナ)、およびエンキの母ナンムといった主たる神々の住処であり、エンキをとりまく眷属も多数住むところがアプスーである。
4、黄泉の国はアプスーよりももっと下にあった。この冥界に到達するためにはフブールの川を渡らなければならなかったため、フブールの川がアプスーそのものと同一視されることもあった。
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1、ウバイド人・シュメル人の間では「場所」
最古の都市エリドゥと、その都市神エンキの神話、ウバイドからシュメル最古の神話では、アブズ=アプスーは、場所(海)であり、水徳の神々の領域であったと想定される。母神ナンム、息子のエンキと配偶女神ダムガルヌンナの女神を頂点とする三位一体神が支配する領域で、アプカルルのような水性の精霊がその眷属であったと想定できる。魚衣の精霊アプカルルは、「海の国」第一王朝、バビロン第二王朝(カッシート)から、アッシリアに流入し、新バビロニアで特に崇拝されている。トーテムは、魚、蛇、亀などである。日本の出雲系、鶴亀の亀、ヤマタノオロチ=越の8都市国家、などは、この系統であろう。
2、バビロニア神話ではティアマトの配偶神
アプスーは、ナンム女神の配偶神であり、ナンムが主神であることは、彼がすぐ殺されることでも明白。
バビロニア神話では、ナンムもティアマトとなり、その配偶神である。
③アン(アヌ)
1、アンとはシュメール語で「天」を意味し、天空の神のことである。
2、アンは世界創造の主役を演じ、ありとあらゆる神々を統御する父なる主神である。
3、シュメール神話によれば、大地(キ)とともに宇宙を創るのがアンである。
4、カッシートおよび新アッシリア時代の美術では、アンは角冠の象徴をもってあらわされる。
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1、アンは「天神」
2、アンは父なる神、つまり神々の父。
3、アン・キ一対で、現実の天地創造。
4、象徴は神であることを表す「角冠」
アンは、オリオン座星系の「アヌンナキ」の長であり、主神であったと想定される。
アンの聖数が60であることがその根拠の一つである。
メソポタミア人は、60進法を生み出したが、楔形文字の1と60が同じ文字である。
水神信仰者のトーテム亀や亀甲文、六芒星は、アンの聖数60と関係する。
月神信者=星信者=天文学・占星術師集団の北極星はアンを象徴し、アンの天とは夜空でもある。
角冠は、アヌンナキは、牛をトーテムとする灌漑農耕者集団が、オリオン座星系「アヌンナキ」の子孫の異星人の指導を受けていたことが想定される。
④エンキ(エア)
1、アン(アヌ)とナンムの子。淡水の地下にあるアブズの神で、知恵、呪術、美術工芸を司る。また、エンキは人間に好意をもつ神という。
2、配偶女神はダムガルヌンナ(ダムキナ)。
2、長い髭に多くの角がついた冠、長いひだのある衣服を身にまとって座る姿で、腕から湧き出た流水が大地に注ぎ、その水流には小さな魚が泳いでいる。
3、カッシート時代以降には、随獣として山羊魚を従える。
4、このほか、エアを象徴するものとして羊頭の曲杖や亀がある。
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1、アン(アヌ)とナンムの子。
つまり、オリオン座星系指導の天神信者・月神信者とシリウス星人指導の水神信者の融合と共闘から生まれた主神がエンキ神である。
常に友愛的で、人間の味方で、賢者である。
2、老人で水神
老人で髭と長衣、鯉の洪水が注ぎ出る姿は、水神であり賢者であることの投影である。
3、「山羊魚」が象徴
カッシート時代の占星術が発達すると「山羊魚」が象徴になる。
もとは水神で、魚や亀や蛇がトーテムであったが、山羊が入ってくるのは、アッカド人以来セム語系コーカソイドの遊牧民が融合したことにより、灌漑農耕と牧畜の指導者となったからであると想像される。
4、牧者=教師
「羊頭の曲杖」は、牧畜の指導者、羊たちにとっての先頭の山羊や羊飼いの立場=指導者を示す。指導者を「牧者」と呼び、イエスが自分を「善き牧者」と呼ぶのは、ここから来ていると想定される。
5、配偶女神はダムガルヌンナ女神/後妻ニンフルサグ女神
6、長男はアサルルヒ=マルドゥク、庶子はニヌルタ配偶女神ダムガルヌンナは、ニンフルサグと同一視されたりするが、別起源。エリドゥの水神系と想定される。ニンフルサグは山の女神で太陽神系であろう。
エンキとダムガルヌンナの子に、①アサルルヒと②マルドゥクがいる。
アサルルヒは、呪術の神で、神明裁判の神である。マルドゥクの別名でもある。
後に、マルドゥクと同一化されるといってよい。マルドゥクの名は「太陽の子牛」なので、太陽神シャマシュと同一視されうる。したがって、エンキの息子マルドゥクは、水神系であり、神明裁判の神であり、もともと、裁判と正義の神であったと思われる。エンキの子であるから、水神で、竜がトーテムとなるわけである。
エンキの後妻ポジのニンマフは、「エンキ神とニンマフ女神」で、エンキ信者によって征服されたアダブ市の都市神であったようだ。息子ニヌルタを産み、息子からニンフルサグの名を奉られる。
正妻の子アサルルヒ=マルドゥクをおしのけて、メソポタミアの人気ナンバー1の神になるニヌルタと、バビロン市の都市神でありながら、シャマシュに裁判の神の地位も奪われ、パッとしないマルドゥクを比較すると、人間世界でもよくあることのように思われる。
⑤エンリル
1、神々のなかでも最高位にあり、シュメール語の詩によれば他の神々はエンリルの光輝をみることすらできなかった。
2、アンの子孫。エンキとニンキ(大地の女主人)の末裔。
3、配偶女神はニンリルまたはスドゥ(ムリッス)。エンリルの子は、イナンナ、アダド(イシュクル)の神々、ナンナ・スエン、ニヌルタ(ニンギルス)、ウトゥ(シャマシュ)、ザババとエンヌギである。
4、さらに、エンリルは「偉大なる山」「異国の王」とも呼ばれ、ザグロス山脈との関連もあった。
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1、最高神、神々すら見ることのできない光輝の持ち主
エンリルだけ、都市神でなく、シュメル・アッカド全体の聖都ニップルの神である。
2、出自不明。
実は、砂漠の風神=風魔リルがその正体。アンとナンムの子エンキとは別系統である。エンリルは、誰の子でもない。実は風魔リルがその正体である。
3、配偶女神はニンリルまたはスドゥ(ムリッス)。ニサバ女神の娘スドゥ女神。エンリルの配偶女神になってニンリルとなる。もともと収穫の女神ニサバの娘なので、シュメル人の文明の女神であった。エンリル集団に征服され、先妻リリトを押しのけて、妻の座についた。
したがってエンリルの先妻はリリト、後妻はニンリルである。
3、エンリルとニンリルの最高神カップルの子は、シュメル・アッカド時代は、イナンナ、アダド(イシュクル)の神々、ナンナ・スエン、ニヌルタ(ニンギルス)、ウトゥ(シャマシュ)、ザババとエンヌギと錚々たるメンバーであったらしいが、ウル第三王朝で、月神シンが突出すると、エンリルの長男がシン、シンの子供がイシュタルとシャマシュとなる。
4、ザグロス山脈の異邦人の神であった。常に、文明人ではなく、侵入してくる異邦人の味方である。強いものの味方。それゆえ、エンリルは親しみやすい神でなく、峻厳な神、罰する神である。
エンリルは、その抽象性から、アッシュル神などと同様、人間に優しい慈悲の神でも豊穣の神でもない。ヤハウェの原型であると想定される。
どの都市にも属さないため、唯一神的性質のもっとも強い神である。
その姿も描かれない。
聖数は、50であり、五芒星と関係。地水火風の四元素を統率するような立場といい、ギリシア世界のアイテールに通じる。伊勢神宮の五十鈴川は50であり、エンリル信者が、伊勢系に入っている可能性がある。
アンズー鳥がその象徴であり、火の元素、太陽神、朱雀などと関連する。水神・月神信者が文明都市側にいる場合、ズー鳥やアサグとなり怪鳥となるトーテムである。
エンリルの両義性をよく表している。
⑥ニンリルまたはスドゥ
1、エンリルの配偶女神(ニンは「婦人」を意味し、エンは「主」を表す)。
2、重要な神の妻として「創り上げられた」神のようであるが、通常「慈悲深き母」などと呼ばれ、母神の一つであったようである。
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スドゥ女神がエンリルと結婚する神話では、エンリルはまるで、牧人の若者である。のちのエンリルを想像できない。
エンリルは、征服異民族の風神であったが、シュメル・アッカドに入って、最高神となり、純化されて抽象神となった。ニンリルの名が、エンリルの伴侶として「創造」された神であることを物語っている。
⑦ニヌルタ
1、シュメールにおけるニヌルタ信仰は大変古い。
2、その配偶女神はグラ、あるいはバウとされていた。
3、ニヌルタの別名であるニンギルスはニヌルタの地方形であった。
4、好戦的な性格で、彼の英雄譚は主にシュメールの敵、メソポタミアの東方の山岳地帯に向けられたものである。
5、エンリルから運命の石板「メ」を奪って神々の秩序を乱したアンズー鳥とも戦った。
6、さらに、彼はこれと対照的な農耕神としての側面がある。
7、カッシートのクドゥルでは犂がニンギルスのシンボルであり、新アッシリア時代にもニヌルタのシンボルであった。
8、シュメールの叙事詩『ルガル・エ』には、悪霊アサグ率いる岩石の軍勢を撃退したニヌルタは、その岩で山々を造り、ティグリスとユーフラテスの治水を支配することによって灌漑と農耕に役立つようにしたとある。
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1、古い神で最初は、大洪水後に王権が下ったキシュ市の主神グラ女神=バウ女神の配偶神であったと思われる。バウ女神は、クバウ=クババになっていく女神の原型であろう。
2、ご当地バージョンの代表格はニンギルス神。実はニンギルスはアンズー鳥がシンボルのエンリルの息子であり、ニヌルタは、エンキの息子であるから別系統。
3、彼の権能は、異民族の侵入から都市を守ることである。これは王の二大責務の一つである。
アンズー鳥や怪物と戦う。
4、もう一つの権能は、灌漑農耕の神である。犂が彼のシンボルである。
⑧パビルサグ
1、パビルサグ信仰は初期王朝時代にさかのぼる。エンリルの息子であり、イシンの守護女神ニンイシンナの配偶神と考えられた。
2、古バビロニア時代頃からパビルサグはニヌルタ(ニンギルス)と同一視される。
3、伝説によれば、大洪水の前に栄えた都市の一つララクの神であった。
4、占星術では射手座に相当する。
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1、大洪水前の都市ララクの主神
大洪水伝説の唯一、アトランティスの叡智を張り出したと言及のあるベロッソスのバビロニア版で、大洪水の主役の王が統治していた都市がララクである。
2、パビルサグは、ニヌルタの前身か?おそらく時代とともにニヌルタに吸収されたと思われる。
3、占星術では射手座。
ニヌルタは、メソポタミア占星術では、土星であり、ニヌルタの父エンキ(クロノス)も土星である。農耕神であったと思われる。
⑨イシュクル(アダド)
1、嵐の力の神格化。
2、通常アンの息子とされるが、古くはエンリルの息子であった。
3、配偶女神はおそらくフリ起源のシャラ女神であるが、シャラはダガンの妻ともされている。
4、イシュクルの信仰は少なくとも初期王朝時代にさかのぼる。シュメール南部起源のイシュクルが雷、霰、洪水に結び付けられるのに対し、別称のアダドは慈雨や渓流の神といった恵みの側面をもっていた。
5、嵐の神イシュクルは稲妻の象徴、一方アダドは流れる水の象徴であらわされた。
6、イシュクルの随獣は有翼の獅子で、アダドの随獣は有翼の獅子もしくは牡牛であった。
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1、「嵐の神」
2、古くはエンリルの子ということは、征服者セム語系コーカソイドの神。
3、配偶女神はシャラ女神。
古いシュメルの女神で、稲穂を持つ収穫の女神。おとめ座と関連。
もとは、豊穣の神ダガン神の配偶女神であったと思われる。
ダガン神の地位をイシュクル=アダドが襲ってからイシュクルの配偶女神になったと想定される。
4、シュメル人にとって、イシュクルは両義的な神。稲妻や洪水などネガティブイメージが強く、あまり人気ない。
セム語系コーカソイド、とくに北シリアの天水農業地帯には、慈雨や渓流の神で、大人気の神。
渓流の神というのがミソ。ギリシア本土にテーバイ帝室が、渓流に都市を建て、連投では渓流を祀った。ギリシア本土では、ニヌルタと並んで、ヘーラクレースの中核を成す。
5、イシュクルの象徴は稲妻:これが、アダドの慈雨と結びついて、収穫を生む稲妻となっていった。習合されたニヌルタ神など灌漑農業の神の手にも持たされるようになる。
5、アダドの象徴は流れる水:アダドが「水神系」である証拠である。
6、イシュクルのトーテムは有翼の獅子:獅子は略奪者の象徴。
6、アダドのトーテムは有翼の牛:牛は灌漑農業の象徴。
同じ太陽のトーテムである獅子と牛だが、牛は文化的で、灌漑農業をすることで自分が富み、他者にも分配する人びとの崇拝するものであり、獅子は太陽のトーテムであっても、野獣で、自らは耕作せず、耕作民の収穫を武力で略奪する野盗のトーテムである。
アダドはアッカド語、アッドゥがアムル語。シャムシアダドは、サムシアッドゥ。
また、アダドの聖都は、ハラブ=ハレブ=アレッポで、ハダドと呼ばれていたであろう。この都市が、北シリアで、地中海交易の玄関口フェニキア地方の諸都市と、メソポタミアの諸都市の結節点にあたったため、アダドは大人気の神となった。
⑩マルドゥク
1、ウル第三王朝時代にバビロン市の守護神であったマルドゥク信仰は、古くは初期王朝時代に確認される。
2、神名は「太陽の仔牛」を意味する。
3、後にベール(神々の王、主)として知られた。
4、古くからエンキの息子アサルルヒの神格を吸収し、マルドゥクはエンキの息子となった。
5、その配偶女神はツァルパニートゥ、またはナナヤ女神とされる。
6、マルドゥク信仰の興隆はバビロンの都市国家から帝国の首都へと政治的に成熟していく過程と密接に結びついている。カッシート期以降、マルドゥクはますます重要な存在となった。
7、そのため、マルドゥク固有の性格がなんであったか原型を跡付けることは困難であるが、呪術と知恵、水と植物の成長、審判などを司る神であったとみられる。
8、マルドゥクを意味する鋤(スペード形)の標章をみると、もともと地方の農耕神であったことがわかる。
9、随獣は蛇龍(ムシュフシュ)。
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1、バビロン市の都市神
2、神名は「太陽の仔牛」
3、ベール(神々の王、主)。しかしメソポタミアでは神々の王はエンリルで、
バール(主人)の称号は、アッシュル神やメルカルトやその他さまざまの神が継承するところとなり、マルドゥクは影が薄い。
4、エンキの息子
エンキの息子アサルルヒを吸収して、呪術と川の神明裁判の属性を継承。
水神。裁判の神。
5、配偶女神はナナヤ女神
6、バビロン市に限定?
古バビロニアから新バビロニアまで、バビロン市の主神には変わりなかったが、バビロン人は、あまりマルドゥクを押しつけなかった。ハンムラビの時代でさえ、ハンムラビ法典碑の裁判の神の位置にはシャマシュがおり、マルドゥクは、不憫なキャラ観があった。新バビロニア時代は、息子のナブーの方が際立ってきて、後にナブーはヘルメースとなり、ヘルメース・トリスメギストスとなっていく。アトランティスの知恵の継承者は、マルドゥクではなくナブーであろう。
7、盗まれた属性
呪術の神の属性は、息子ナブーに、豊穣の水神の属性は異母弟ニヌルタに、裁判の神の属性は他人のシャマシュに盗まれた。
8、シンボルは犂。もとは灌漑農業の豊穣神であろう。
ギリシアの農業神はクロノス、父のエンキである。
9、トーテムは竜(ムシュフシュ)。中国、列島では、龍神として大人気になったのか?マルドゥク自身ではなく、そのトーテムのムシュフシュが、龍神として人気となっていったと想定される。
⑪ナブー
1、前二千年紀初め、遊牧のアモリ人によってシリアからバビロニアにもたらされた文字の守護神。
2、運命の粘土板を書く書記神とされるものの、まつわる神話は知られていない。後にエンキやマルドゥクと同じ知恵の神とみなされ、さらにニヌルタの要素も取り込んで、灌漑と農耕を司った。
3、最初はマルドゥクの重臣であったが後に息子とされた。時代が下ると穀物神ニサバがその配偶神とされた。
4、新年祭にはナブーの神像がボルシッパからバビロンに運ばれ、バビロンの主神である父マルドゥクを「訪問」する儀式が行われた。
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1、シリア起源のセム語系コーカソイドの神
2、書記神、知恵の神
エジプトのトト神に相当。知恵の神、豊穣神などオールマイティな神へ
3、マルドゥクの重臣から息子へ。配偶女神は、古い豊穣女神ニサバ。
4、新年祭。ボルシッパからバビロンへ父マルドゥクを訪問する祭は、シュメル・アッカドのエンリルの長子シンが、エンリルを訪問する祭を踏襲。
月神シンと水神ナブの並行関係が感じられる。
カルデア人が特に愛好した神で、ナボポラッサル、ネブカドネザル、ナボニドゥスすべてに、この神の名が入っている。
ギリシアのヘルメースと習合。水星の神。
第2稿 天体の神々
①ナンナ・スエン(シン)
1、シュメール語で月神はスエンあるいはナンナといい、両者あわせてナンナ・スエンと呼ばれた。
2、ナンナはエンリルとニンリルの息子で、その配偶女神はニンガル。子供は太陽神ウトゥと女神イナンナであった。
3、ナンナは古バビロニア時代に大変盛んに信仰されたが、神々のなかでは常に上位の神々に従属していた。
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1、月神・暦の神/セム語系コーカソイドの主神
ただの天体の月ではない。暦の神であり、占星術・天文学の神である。
シュメル人の間では、ナンナ神とスエン神が融合したと想定される。エンリルの息子であるので征服者の神で、あまり人気がなかったであろう。
セム語系コーカソイドの神シンとして、強大で、エンリルが敬遠されたため、事実上の主神であった可能性がある。
アッカドのナラム・シンの名前にあるように、アッカド王朝とウル第三王朝の主神であったらしく、ウル市の都市神でもある。
2、両親は最高神エンリルとニンリル。子供は太陽神ウトゥと女神イナンナ
三大神の子格の神。太陽神より上位の神。
3、事実上のシュメル・アッカドの最高神
エンリルがしばしば嫌われ者で、両義的な神で、懲罰的で、異国人の侵略者の味方であったため、親しめない神で敬遠されていた。
そこで、月神シンが、事実上の主神であった。
シュメル時代は、都市神が最高で、ジモティー神を大切にし、シュメル人統一の最高神はなかった。そもそも統一国家が成立しなかった。
はじめてシュメル・アッカドを統一したアッカド王朝は、キシュ市の酌夫あがりのサルゴンが建てたが、孫のナラム・シンには、月神シンの名がついているので、あきらかにアッカドの主神、すなわち、シュメル・アッカド王国の主神はシンであったと想定される。
シュメル・アッカドを再興したウルナンムは、ナンム女神という水神信仰者集団から来たと思われるが、三代目から王名にシンがつき、首都はシンを主神とするウル市であったから、当然、シンを主神として継承した。
4、シンボルは三日月
三日月は三日目の月。朔日の月は見えない。イスラーム暦(ヒジュラ暦)は月が見え始める三日月から暦が始まるとされるためともいわれている。
三日月はクレセント。だんだん強く、発展していく幸運のシンボルである。
5、月神の影響
ウル市、「ウル第三王朝」、ウルのジッグラト「エ・テメン・ニグル」は、アトランティスの叡智の発信源だった可能性がある。
月神信者と水神信者のハイブリッドが、フェニキア人。
スサに連行されたイッビ・シン、スサに追放されたナボニドゥス・バルシャザル父子などを通じて、ウルのジッグラトの「エネルギー増幅コンプレックス」が、出雲大社に輸入されたという想定も可能だ。
ハラーン市は、占星術のメッカとなる。
月神信者は、占星術とそれを使った航海術とで、全世界に拡散して地球の進化を促してきた。列島には、月読に象徴されて、何度も文明化を促進したようである。
6、聖数は30
三位一体、デュポールの30人の会など、3、30は神聖な数である。
②ニンガル
1、ナンナ(シン)の配偶女神で太陽神ウトゥ(シャマシュ)の母。
2、ニンガル信仰はシリアで前二千年紀に興ったが、転訛してニッカルともいった。
③イナンナ
1、イナンナの神名は恐らくニン・アナ(天の女主人)に由来している。
2、アッカド語のイシュタルは、南アラビアのアスタル神、シリアのアスタルテと関連がある。
3、イナンナは系譜上アンの娘となっているが、他の資料では月神ナンナ(シン)の娘とされる。
太陽神ウトゥとは兄弟で、地下世界の女王エレシュキガルは姉である。
4、イナンナは結婚の女神でも母神でもなく、「聖婚」の守護神だったようである。
5、また、戦いを好み、戦場は「イシュタルの遊び場」と表現されるほどで、戦う王に味方をする女神であった。
6、イシュタルは金星、明けの明星、宵の明星をあらわす。
④ウトゥ
1、シュメールの太陽の神。
2、シュメール語のウトゥは月の神ナンナの息子、イナンナの双子の兄弟であった。アッカド語でいうシャマシュは、しばしばアン(アヌ)あるいはエンリルの息子とされた。
3、ウトゥは、真実、公正、正義の神にして、邪気を退ける守護神とされた。
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1、太陽神
2、月神同様、シュメル人の間ではマイナーな神で、月神ナンナの息子。
3、アムル人の間では、エンリルの息子に格上げ。
4、「正義の神」とされ「裁判」の神となった。
ハンムラビ法典碑に描かれていることは、「正義の神」の属性である。
第3稿 農耕狩猟の神々
①ダガン
1、ダガンは西セム系の穀物神で、メソポタミアをはじめ西アジアで広く信仰された。
2、ヘブライ語およびウガリト語で「ダガン」とは穀物を意味する。
3、伝説によれば犂を発明したのはダガン神であるという。
4、ダガンは早くもシュメールの神々に吸収されてエンリルの臣下となり、シャラ女神がその配偶女神となった。
5、バビロンのハンムラビ王がマリを征服できたのは「彼の創り主」ダガンの力によるものであったといわれる。
6、「ダガンの信奉者」シャムシアダド一世はダガン神殿をテルカに建て、エキシガ「死者への供養の家」と名付けた。
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1、西セム系の穀物神
起源は、北メソポタミアのマリ市の最高神。穀物神。
ナラム・シンがマリを征服した時、ダガン神のご加護で征服できた。
2、信仰のメッカは、マリ市とテルカ市。
テルカ市は、マリ市の少し北に位置する。
テルカ市に、シャムシ・アダドが、ダガンに捧げる神殿を建設したのがはじまり。
カッシートと呼ばれる自称ガルズ、アッカド語でカッシュという民族の故地。
ここからバビロニアに南下して、バビロン第二王朝を滅ぼして、バビロン第三王朝を建設した。
3、アダドと習合
メソポタミアでは、アダドにお株を奪われ、アダドと習合したようである。
4、アプカルルと習合か?
南バビロニアで、カッシート以降、アプカルル信仰がリバイバルする。カッシートの穀物神ダガンが水神と結びついたのか?
5、ペリシテ人がガザとアシュドドに神殿を建設したと聖書は伝える。
ペリシテ人の主神であった可能性もある。
6、ダゴンへ
聖書の罵倒から、ヘブル語の魚=ダグと関連させられ、海の怪物ダゴンとなったと想定される。クトゥルー神話などを通して、タコの化け物に進化?した。
7、シャラ女神が配偶女神
シャラ女神は、収穫の女神で、おとめ座になった。
②ニサバ
1、元来は穀物の女神。天の神アンと大地の女神ウラシュの娘で、その信仰は初期王朝時代から存在した。
2、ニサバは、文字・会計・書記術といった諸芸の女神である。後代には書記術に関わることからナブー神が配偶神となった。
3、ニサバはシュメールの都市ウンマの首長が個人で祀る神であった。
4、シュルッパクの都市神スドゥ女神にも近しく、ニサバはその娘とされた。
5、神話『エンリルとスドゥ』では、ニップルの神エンリルがスドゥとの結婚を望んだ時、ニサバの許しを請わなければならなかった。
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1、穀物の女神
シュメルの昔から、穀物の女神。
2、書記術の女神
おそらく、王妃の後宮で会計を扱っていたため、女神が書記なのだろう。配偶神となったナブーによってその権能を奪われる。
3、ウンマ市の都市神
ウルクと100年戦争をしたウンマの都市神。
4、大洪水前の最期の都市シュルッパクの都市神スドゥ女神と近親性
おそらくスドゥ女神の方が、古かったのかもしれない。
5、シュメル神話では、スドゥの母でエンリルの姑。
第4稿 母神
①ニンマフ
1、シュメールの叙事詩ではニンマフはナンムが人間を造る時に産婆として手助けをする。
②ニンフルサグ
1、ニンフルサグの名前の起源を説明する他の物語『ルガル・エ』では、ニヌルタ神が悪霊アサグと岩石の軍勢を撃退し、その岩で山脈を築き、母ニンマフの名を新しい名前ニンフルサグ(山の女主人)と改める。
③ニンスン
1、「野牛の女主人」の意。初期王朝時代すでに彼女はウルクの神格化された王ルガルバンダの配偶神とされていた。
第5稿 英雄たち
1、ウルク市の神格化された英雄
①ルガルバンダ
1、英雄ルガルバンダは、シュメール都市ウルクの王にして神格化された人物であった。妻はニンスン女神。ほとんどの文学作品で彼らがギルガメシュの両親となっている。
②ギルガメシュ
1、シュメール初期王朝時代の都市ウルクの王。
2、キシュ市の英雄
①エタナ
1、シュメール王名表によれば、大洪水の後、シュメールの覇権はキシュ第一王朝の王が握った。その一人が天に上った牧者と呼ばれるエタナである。
2、鷲はその背中にエタナを乗せ空に上っていった。
3、エリドゥ市の英雄
①アダパ
1、バビロニアの伝説によれば、アダパは、シュメール最古の都市エリドゥの「守護霊」あるいは「精霊」(アプカル)であった。
2、アダパはその知恵によってエア(エンキ)神に認められていたが、南風の「翼を壊した」ため主神アヌ(アン)に召還され罰を受けることになった。
3、アダパの身に危険を察したエアはアヌがアダパに死のパンと水を与えるだろうと警告した。
4、その時二人の天の門番ドゥムジとギシュジダ(ニンギシュジダ)がアダパをアヌにとりなし、アヌの心が変わった。
5、アヌはアダパに永遠の生命のパンと水をあたえたのである。しかし、アダパはこれを断ったため、不滅の命を得る機会を失ってしまった。
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1、エリドゥの精霊(アプカル)
2、エンキ神の部下の知者
3、エンリルの部下「南風」の翼を破壊
4、不死になれず
ベロッソスの本が出典であり、アプカルルがしきりに描かれるようになるのは、
新アッシリアからである。原点は、バビロン第二王朝かバビロン第三王朝(カッシート)からの水神信仰のリバイバルであろうか。テーバイ帝室は水神信仰、ヘーラクレースはニヌルタ(エンキの息子)だから。ウル人、バビロン人、テーバイ帝室系、フェニキア人ときて、アラム系の王妃、バビロニア系の王妃の一族からアプカルル信仰が入ってきたのか。
第6稿 死後の世界
第一項[地下世界の神々]
1、冥界は地下にある
地下世界はアブズ(アプスー)より下にあって、降下する階段をつうじて冥界の門に至ることができると信じられていた。
2、死んで花実が咲かない暗黒世界=現世主義
地下世界は完全な暗黒で、埃っぽく気持ちの悪いところで、王であれ庶民であろうと死んだ人間は例外なくここに赴く。
3、道徳観の相対性と平等
古代エジプトと異なり、メソポタミアには死者を道徳的に裁く観念はなかった。
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エジプトの墓場文化ではなく、生きている者のための文明を築いたメソポタミア人。道徳観も独善的でなく、相対的な多神教。
①エレシュキガル
1、名前の意味は「大地下世界の女王」。地下世界を支配する女神。
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冥界は女性上位。
②ネルガル
1、地下世界の女王エレシュキガルの配偶神。エンリルとニンリル、あるいはベレト・イリの息子。
2、森林火災、熱病、疫病と結びつけられ、好戦的な側面をもつ。
3、三日月刀と双頭の獅子の笏を手にしているが、笏だけでもネルガル神を象徴することがある。
4、パルティア時代にネルガルは古代ギリシアのヘラクレスと同一視された。
***************
1、地下世界の女王エレシュキガルの配偶神
婿殿ながら、冥界のエンリル神である。
2、熱病・疫癘神
疫病神で、戦闘神。征服する相手方からは恐ろしい神。
アッカドのエッラ、エジプトに入ってレシェフと習合。
3、双頭の笏は、双子の表徴
ネルガルは双子神といわれる。占星術では、ニヌルタと双子とされた。
4、ニヌルタとともにヘーラクレースを形成。
③ニンギシュジダ
1、名前の語源は「良き木の主」。バビロニア語による呪文には、ニンギシュジダは地下世界に住む悪霊を支配する神として登場する。
2、占星術ではニンギシュジダはヒュドラ座。
④ドゥムジ
1、牧羊神で、羊の女神ドゥットゥルの子。
2、(イナンナの身代わりとして)夫ドゥムジを身代わりとして連れ去った。こうしてドゥムジは死んで、地下世界の神となった。
3、シュメールの王が儀礼としてイナンナと結婚する「聖婚」儀礼においては、ドゥムジの役を王が演じた。
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1、牧羊神
2、イナンナの夫
3、死と再生の神。
アドーニス、イエス・キリストなどは、ドゥムジの後継である。
第7稿 個人神・守護神
①グラ
グラ女神(グラ=「偉大」)は癒しの女神、医者の守護神。ニヌルタ/パビルサグあるいは下位の植物神アブの配偶女神と考えられた。グラは治癒神ダム、治癒に関わる神ニンアズの母であった。随獣は犬で、犬の小像をグラ女神に捧げる習慣があった。
②ニンイシンナ
ニンイシンナとは「イシンの女王人」を意味する。シュメールの都市イシンの守護神。配偶神はパビルサグ、息子はダム。前二千年紀初めにイシン王国が勃興すると、イシンの特別な神格で「黒頭人(人間)の偉大なる医師」として知られるようになり、その息子ダムと同様、特に治癒に関連するようになった。
****************
イシン第一王朝はマリの将軍の建てたアムル人の王朝である。治癒神が最高神というのは、シドンのエシュムンに通じる。パビルサグ=射手座でギリシアのケンタウロス・ケイロンに通じる。ダム神は男性で治水ではなく治癒の神
③ダム
悪魔を追い出し「ちぎれた腱をつなげる」治癒神。ニンイシンナ女神の息子、またはニンギシュジダと同一の存在、あるいはその息子とされる。
***********
病気の原因が悪霊と思われていたため「悪霊祓い」と「医療」は関連があった。
④ラフム
ラフム(毛深いの意)は守護と慈恵の神。新アッシリア時代には長い髪と髭をたくわえたラフム像が、悪霊や疾病を祓うために鎮壇具として建物に埋蔵された。
⑤ラマ(ラマッス)
シュメールの慈愛の守護女神。後に、ラマに由来するアラドゥラムーという言葉が、アッシリアの王宮や神殿の門を守る巨大な有翼人面牡牛や有翼獅子像をさすようになった。
第8稿 シンボル
①三日月
月の神ナンナ・スエン(シン)の象徴。
②太陽円盤
四つの点がある星と各点の間に三つの放射する波線をもっている円盤はアッカド時代から、新バビロニア時代までみられる。この円盤はウトゥ(シャマシュ)神の象徴である。
③七つの点(プレアデス星団)
七つの点あるいは七つの世界の象徴は、先史時代にさかのぼる可能性もあるが、明確に現れたのはミタンニの印章で、新アッシリア、新バビロニア時代に普及した。
新アッシリア、新バビロニアとその後の時代では、七つの点はプレアデス星団の描写と考えられた。
メディチ家の家紋は、このプレアデス星団かもしれない。
④星(八芒星)
八芒星の起源も古く、先史時代から新バビロニア時代まで幅広く知られている。
⑤稲妻
一本の稲妻(ジグザグ線)の表現は嵐の神の象徴である。後の時代には二又のフォーク形の象徴がこれにかわり、新バビロニア時代まで続く。
アッシリアのアダドや他の類似の神であれ、稲妻は常にどの地域においても嵐の神の象徴であった。
⑥十字形
メソポタミア美術にみられる十字形は、現在マルタ十字として知られているものに類似する。カッシートの太陽神の象徴だった可能性もある。
⑦眼
眼には強い力が宿っていると信じられ、常にメソポタミアではパワーのある護符として用いられた。
※眼の神殿と眼の偶像
シリア島北部のテル・ブラクの遺跡では、ウルク期後期(前三五〇〇~三一〇〇年頃)に年代づけられる「眼の神殿」域から数千点を超える小さな「眼の偶像」が発掘された。
眼の偶像の多くは神殿内部に置かれた台座に奉納された状態でみつかった。
⑧鳥の鉤爪と翼
メソポタミアの悪霊や怪物の表現に猛禽(鷲や鷹)の鉤爪と翼がある。
それらは、死や地下世界との結びつきを寓意するという説がある。
アッシュルバニパル王の夢を記述した叙事詩では、王子は地下世界に降りるがそこは有翼で鳥の鉤爪をもっている不快な悪霊の群れが我が物顔に歩いていたという。
⑨蛙
エンキが、・・・様々な水棲動物にイナンナの船を追わせたとある。
分銅はしばしば蛙形に作られた。
⑩ロバの耳
獅子の頭をもったメソポタミアの悪霊や怪物は、しばしば長くて直立したロバの耳のようなものをもっている。
獅子人間は、登場した当初のアッカド時代には獅子の耳がついていたが、後にこの直立した耳をつけるようになった。
しかしギリシア美術におけるグリフィンは長い耳を保持し、中世や現代ヨーロッパにおけるグリフィンやドラゴンも図像にまで受け継がれている。
⑪牝牛と仔牛
牝牛と仔牛を組み合わせた意匠は、メソポタミア文明草創期やシュメールの美術にその明らかな原型がみられる。
⑫牡牛
通常、フォーク形に分岐した稲妻の象徴をもつ天候神の動物である。
古バビロニア時代以降、牡牛は通常一人の神にともなうものとなった。その神は稲妻をもち嵐の神であることがわかる。雷雲は嵐の神アダド(イシュクル)の「牡の子牛」を象徴している。
古バビロニア時代の印章では牡牛が三日月をともなっていることから、牡牛は月の神ナンナ・スエンにともなうものでもあったようである。
⑬馬
馬はメソポタミアに前二千年紀前半頃にもたらされた。有翼の馬、あるいはケンタウロスの姿が中期アッシリアの印章にみられる。
⑭サソリ
サソリの描写は先史時代から知られているが、それが宗教的な象徴であるか不明。
カッシート時代のクドゥルの表面に描かれた描写によってはじめてイシュハラ女神の象徴とはっきりわかった。
サソリの毒に権力と守護の力があると信じられたのであろう。
サソリとサソリ人間の描写にはその尻尾が常にはっきり描かれ、頭の上にいかめしくもち上がっている。
バビロニアの星座体系にもサソリ座として登場する。
⑮亀
先史時代から美術に現れる亀は、シュメール時代には神話に登場し、神の手助けをするものとしてあらわされている。
水の神エンキ(エア)と関連付けられるのはアッカド時代以降のことである。
⑯魚
魚はメソポタミアでは古くから神々への捧げ物であった。
ユーフラテス、ティグリス両大河には鯉の類の魚が満ちていた。
魚は、水の神エンキと関係付けられることが多い。エンキは聡明な神であるためか、魚そのものも知恵を象徴する。
⑰ロゼッタ
イシュタルの象徴と見られる。
⑱多産の壺
壺の口から水が流れ出ている図像で、ときには魚が流れに泳いでいるかのように、表現されることもある。
この壺は、アッカド語でヘガル(豊潤さ)という。
アッカドと新シュメール時代には水の神エンキがこの壺をもっているが、後の時代にはしばしばラフムがもっている。
⑲棒と輪
神の持ち物であった「棒と輪」はシュメール時代から新アッシリア時代までの美術に出現する。
神の正義のシンボルとされた計量道具である棒(定規)と縄(巻き尺)が原型となったとみられる。
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石工=大工(木工大工)の持ち物と思われる。
⑳「生命の樹」
「聖なる樹木」あるいは「生命の樹」とも呼ばれる意匠。
先史時代から新バビロニア時代まで様々な時代に描かれており一様でない。
アッシリア時代の様式化された樹木は、上部に常に有翼円盤があり、樹木の両側には側面に精霊が立ち、手桶か円錐を手にもっている。
『旧約聖書』「創世記」二章三節のエデンの園の「命の木」と「善悪の木」を連想させる。とはいえ、両者を結びつける証拠はない。
㉑ランプ
クドゥルではヌスク神の象徴
㉒双頭の獅子の笏
新シュメール美術に一般的な象徴であり、…カッシート時代と新アッシリア時代にはネルガル神の象徴とみなされた。
㉓鋤
三角形の頂部を有するスコップを立てたようなシンボルは新シュメール時代から新バビロニア時代まで単独であらわされたり、マルドゥク神の神像付属物として表現されたりする。
㉔犂
カッシート期のクドゥルではニンギルス神を表わすために使われている。シュメールの神話では、犂はダガン神の発明によるものとされる。
㉕曲杖
マルトゥ(アムル)神の象徴。
カッシート時代の印章には、エンキ(エア)と関係のある魚衣を着た人物の持物として描かれる。新アッシリア時代の印章の図柄では、エア自身がもつこともある。これは、エアの羊頭の杖が変化したものだろう。
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羊飼いの杖は、牧者の杖、指導者、イエスなどへつながったと思われる。
㉖楔
楔は粘土板の上に楔形文字を書くために使われた筆記具を意味する。楔は書記の神であったナブーの持物だけでなく、この神の象徴となる。
※テル・ブラク遺跡
①ハブール川支流
シリア北東部をながれるハブール川の支流ジャグジャグ川の西岸に位置する。
②「眼の神殿」
ウルク期の神殿址や「眼の神殿」、ナラム・シン銘の煉瓦がみつかったアッカド期の宮殿遺構が発見されるなど華々しい成果があった。
③ハラフ期/前6千年紀~
テル・ブラクにおける最古の居住は前六千年紀のハラフ期にさかのぼることが採集された土器片からうかがえるが・・・
④ナガル
初期王朝時代にはナガルという古代都市であったことも判明しており、ハブール地域を支配する王国の都があったらしい。
第9稿 数字
①3=完璧数
3は完璧な数とみなされ、呪術にも頻用される重要な数字だった。バビロニア人はこの世界を、大地を真中に置き、天空、大地、地下世界といった三つに重層するものと認識していた。
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30は月神シンの聖数
②4=地上・物質
古代シュメール人の宇宙観では、四角形の畑のような形状の大地に四隅があったと考えられた。これが四つの方角とそれぞれに対応する四つの風の源泉であった。
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40は水神エンキの聖数
③7=プレアデスの数
古代メソポタミアで最も重要な数字は7であった。七大神と通称される神々のグループはプレアデス星団(すばる)と同一視された。
④11=不完全数?
11の殺された英雄がいたが、ティアマト女神の怪物もその数は11である。
⑤神の数
20(シャマシュ)、30(シン)、40(エア)、50(エンリル=マルドゥク)
60=1(アン)。
第10稿 精霊・悪霊・空想動物
第一項 アプカルル
①七悪霊(セベットゥ)
七の悪霊は、アンとキの子供、ネルガル(エラ)神の家臣たちをさす。
②七精霊(アプカル)
古代バビロニアの伝統的宗教観によると七人のアプカル(七精霊)は大洪水の以前から存在していたとされるが、詳しいことはわからない。
七精霊像は人間の姿をとることもあり、魚の皮衣をまとい、有翼で猛禽の顔をもつこともある。
※善悪の彼岸
「悪」は通常「敵」となんら異なるものではなかった。
ウドゥク、ラマ、アラド、ガラといった我々が悪霊と呼ぶ精霊は、元来善悪に関して中立の存在であって、その悪い精霊は「悪いウドゥック」「悪いガラ」というように呼ばれた。
③七神
七精霊のグループと同じく、「七神」は善い神のグループの名前でもある。
「七神」はその姉妹ナルドゥ(エラムのナルンテ女神)とともに行動し、七神自身もエラム系であった可能性がある。
七神はバビロニア七精霊(アプカル)と区別され、七神はイシュハラ女神(セム系の女神、西セム系の穀物神ダガン神が配偶神)の子供の可能性がある。
④七つ星(プレアデス星団か)
新アッシリアと新バビロニア美術では「七神」は七つの点、七つ星(プレアデス星団か)であらわされていた。
⑤ガラ(ガルー)
地下世界の悪霊で、不運な人間を地下世界に引きずり込む役割をもつ。
大部分の悪霊や精霊と同じように、良いガラも存在した。
⑥ラハマ
シュメールの神エンキに従う怪物のなかに「エングルの五〇のラハマ」がいる。
ラハマは、ニップルのエクルやギルスのエヌンヌのような大神殿の門衛像をさし、「アプスーのラハマ」とも呼ばれる。
この言葉は「毛深い」を意味する古アッカド語のラフムに由来。
⑦精霊
「精霊」はアッシリアの建築や装飾に頻繁に取り上げられる。
有翼の男神が、立っていたりひざまづいたりして聖樹を中心とした「儀礼」に携わっているのであろう。
⑧人面牡牛
同様に人面の牡牛や獅子をさす言葉であった。
※松ぼっくりとミステリーバッグ
〔註〕聖樹の前に立つアッシュル・ナツィルパル2世浮彫 イラク ニムルド出土 前9世紀頃 大英博物館蔵
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TOLAND VLOGで、サムが、ミステリーバッグは交信機で、松ぼっくりは、精霊が王の松果体のところに当てているので、バシャールのような地球外の高次な霊と交信しているのでは、と解明した浮彫。
中期バビロニアとの交流で、あろう。中バビロニアから新バビロニアにかけて、水神系の神が復活してくる。
第11稿 退治される怪物
①イムドゥグド(アンズー)
シュメールの怪鳥。猛禽に似ているが獅子頭の巨大な鳥で、その翼の羽ばたきは旋風と砂嵐を巻き起こす。
②アサグ(アッサク)
アサグは岩石の軍団を引き連れていた。アサグと岩石の軍団がニヌルタに滅ぼされる神話は、ザグロス山脈の住人に対するメソポタミア低地の人々が抱いていた不安感が多少とも反映しているであろう。
③ティアマトの怪物
ウリディッム(獅子人間)、ギルタブルル(蠍人間)、クルッル(魚人間)、クサリック(牡牛人間)、・・・
④天の牡牛
(イシュタルの要請でアンが送り込んだ牡牛。)エンキドゥの助けを得てギルガメシュがこれを退治した。天の牡牛は星座ではおうし座に当る。
④人魚
上半身が人間の男性、下半身が魚という怪物が、古バビロニア時代以降ほとんどの時代を通じメソポタミア美術にみられる。
クルル「魚人間」
アッシリア美術における人魚は単にクルル「魚人間」として知られ、ギルタブルル「サソリ人間」、ウルマフルル「獅子人間」とともに人間と獣の混合系の類似の怪物群を形成している。
男性人魚・女性人魚
男性の人魚は水の神エア(エンキ)と特別な関係をもち、アプスーに棲む怪物の一つとしても知られる。新バビロニア美術において、この女性形が時々登場するが、これはクリルトゥ「魚女」であろう。
⑤獅子
この獰猛な獣はニンギルス神や、ニンリル、イナンナ、ダムキナといった女神など時代の異なる多くの神々の随獣となった。
文学作品では、獅子は好戦的な王やニヌルタやイナンナのような凶暴な神々の比喩として使われた。
第12稿 竜蛇精霊
①蛇龍
蛇のような体で角をもち、前脚は獅子、後脚は猛禽類の脚の随獣であった。
元々エシュヌンナの市神のエンアズ(後にティシュパク)の随獣であったが、
ハンムラビ王によるエシュヌンナの征服の後バビロンの市神マルドゥク、次いでボルシッパの市神ナブー神の随獣とされた。
***************
ニンアズは、「水を注ぐもの」の意味で、春の雨の神。治癒神。
治療と竜蛇は関連が深い。
蛇は、ニンアズからマルドゥクへ、マルドゥクからナブーへ、ナブーからヘルメースやアスクレーピオスの随獣となっていく。
②グリフィン
有翼または無翼の胴部、獅子の後脚と尾、鷲の頭と前半神といった奇怪な複合獣をさすものとして扱われている。グリフィンは前二千年紀シリアに起源したと考えられている。
***************
これは、玄武や青龍に対する朱雀、火、赤、太陽などと関連。
③ギルタブルル
ギルタブルルはアッカド語では「サソリ人間」を意味し、神性を表わす角冠、人間の顎鬚顔、人間の体、鳥の体の後半分とかぎ爪、蛇顔の男性器とサソリの尻尾をもつ異様きわまりない怪物である。
④山羊魚
頭と前足が山羊、胴体は魚という怪物は新シュメール王朝時代からヘレニズム時代を通じてみられ、さらにローマ時代には山羊座として再び登場する。
第13稿 リリトゥとパズズ
①リリトゥ
男性のリルと二人の女性のリリトゥおよびアルダト・リリは悪霊であって神ではない。
②風魔リルの伴侶
リルは砂漠や荒れ野をすみかとし、解任した女性や子供にとって危害を加える危険な存在である。リリトゥはその女性版である。
③うまず女批判か
アルダト・リリ(処女のリリ)は挫折した花嫁、性的不能者をあらわしているようである。そのため彼女は特に若い男性を強硬に誘惑する妖魔とされていた。
④聖書のリリトへ(エヴァのリリス)
アルダト・リリは祈祷文書によく登場し、ユダヤ教神話に現れるリリトに似ている(『旧約聖書』「イザヤ書」三四章十四節。共同訳では「夜の女」と訳されているが、原文ではリリト)。
①ラマシュトゥ
女の悪霊とされることもあるが、楔形文字文書によればバビロニアやアッシリアでは女神と考えられていたらしい。アンの娘として、一般の「悪霊」とは別格の存在であった。
ラマシュトゥが最も好んだ犠牲は胎児と新生児で、流産や乳児の突然死はこの悪魔の仕業を考えられた。
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ラマッスのの女性形か。アンの娘の女神から怪物にされたのであろう。リルやリリトゥが、エンリルに昇格して、再び怪物にされたように。
②パズズ
1、パズズはラマシュトゥから守護する善霊
「ラマ取得の魔除け板」と呼ばれる金属製品や石製品も魔除けとして用いられており、そこにはパズズによって冥界に引き戻されるラマシュトゥが描かれていた。
2、異様な容姿
前一千年紀のアッシリアとバビロニアの呪術の神。犬のような顔で異様なギョロ目、鱗のある体、蛇頭の男根、鳥の鉤爪と翼をもっている。
3、疫病守護の呪術的善霊
彼は通常邪悪な地下世界の悪霊とみなされるが、疫病を蔓延させる風(とくに西風)から守護する役割もあったようである。
4、『エクソシスト』で少女に憑依する悪霊
ハリウッド映画の『エクソシスト』で少女に憑依する悪霊として登場している。
第14稿 神殿と供物
第一項 メソポタミアにおける神殿
①シュメール語で「エ」、アッカド語で「ビートゥ」
「エンリル神のエクル(山の家)」「エンキ神のエアブズ(アブズの家)」などと呼ばれていた。
エサギラ(頭を持ち上げた家):バビロンのマルドゥク神殿
エジダ(正義の家):ボルシッパのナブー神殿
③神殿の外観
1、扶壁装飾
神殿の外壁は扶壁(付柱状の張り出し)が連なり凹凸をとるようになる。この装飾はおそらく葦の束で作った家の壁を模したものと思われる。この扶壁装飾はメソポタミアの神殿建築の代表的な特徴となり、エジプトの神殿建築にも影響を与えた。
2、祭壇
祭壇とは、実際にそこで犠牲や供え物を捧げる台であり、またはそうした行為を象徴するものである。
④神像
1、神が宿るもの
神像は、神々がその姿をして地上に現れるものである。したがって厳密には神ではないが、神がそこに存在しているということで、単なる像以上のものとみなされた。
2、金箔の舶来材木製木像
神像は、古いものでウル第三王朝期には作られており、通常舶来の高価な木材を彫ったものに金が被せられていた。
⑤神官
おそらくそれぞれの神官としての衣装、たとえば帽子であったり、髭をそっていたり、裸であったりすることで区別されていた。
************
シュメールには裸体・剃髪の神官がいた。カルタゴにも裸体・剃髪の神官がいたようだ。
⑥お供え
1、香木
人間の宴会の時と同じく香や香木が神々の前で燃やされた。
2、食料や衣服
食料や衣服は神に捧げられた後、神殿の職員の間で階層に従って分配された。
3、奉納供物は三種類
まず神々の「役に立つ」物で、寝台、椅子、船、杯、器、戦利品の武器、装身具などで、神の「財産」として神殿の宝庫に集められた。まず神々の「役に立つ」物で、寝台、椅子、船、杯、器、戦利品の武器、装身具などで、神の「財産」として神殿の宝庫に集められた。
次に奉納者像で、自分の代わりに神に祈りを捧げるものとして神の前に置かれた。
第15稿 祭儀と呪術
1、祭儀
第一項 豊穣儀礼
①聖婚
神格化された人間の国王とイナンナ女神との間の性的儀式がある。ドゥムジ神とイナンナ女神との間の神話上の結婚を象徴するものである。
王と、イナンナ女神を演じる女神官との間で実際に臨時的な「結婚」がなされたのか、あるいはすべての儀式が象徴的に行われただけだったのかは不明である。
②人間の供儀(殉葬)
殉葬はメソポタミアでは一般的ではないが、ウルの墓群に特殊な例が見られる。
しかし、最近の研究によれば殉死者の頭部に明らかな暴力的な痕跡がみつかり、毒杯を自ら飲んだとする定説は疑問視されている。
しかし、前七世紀のアッシリアでは、日食・月食が王の死の前兆とされた時、身代わりとして一時的な王と王妃が選ばれた。・・・予言された運命の時がくると、殺されたのである。
第二項 建築儀礼
①定礎埋蔵物
建築儀礼の際には、建築の基礎部分に様々な種類のものが奉納されたり、竣工時に建物に差し込まれたりした。
②カネフォロス(定礎埋蔵人形)
青銅製ウルナンム像。ウルクのジッグラトなどの建築を精力的に行ったウルナンムの像。
第三項 浄化
①水撒きや焚香
お祓いや水撒きはその場を掃除しほこりを落ち着かせることだが、その行為によって神殿が清められ、香によって、象徴的にその場の空気が清められた。
②沐浴と手水
また、参会者が沐浴し、手を洗うことで、その人間が清められたのである。
第四項 球果と手桶
①球果と手桶
新アッシリア時代の美術には、松かさのような球果と手桶が、様々な精霊の持物として登場する。
②球果を右手、手桶を左手
精霊や半人半獣が球果を右手にもち、手桶を左手に提げている。
③バンドゥッドゥー(手桶)とムリル(浄化具)
文献にはほとんど登場しないが、バンドゥッドゥー(手桶)とムリル(浄化具)と呼ばれていることから、浄化儀礼に関係していることは確かなようだ。
第五項 香
①炭に香木
香炉のなかに火のついて炭を入れ、その上に香料を振り入れ、香しい煙を空中に放つのである。
②芳香植物
医療においても、杉の樹脂やおがくず、芳香植物などを用いて薫蒸消毒が行われていた。
第六項 油を注ぐ儀式
①油を塗る習慣
油を注ぐ象徴的な行為は、治療や化粧のために上質の油を体に塗る習慣からきている。
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ラケダイモーン人の体に油を塗る習慣は、カルタゴのハンニバル軍でも行われていたが、皮膚の乾燥を防ぐためか。
2、医術
①薬学と外科技術
古代メソポタミアには薬草の実用知識や外科の知識は存在していたが、病気の原因は理解されていなかった。
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対処療法として医学は、存在。原因は不明のまま。メソポタミア人は、ボトムアップ的思考である。
②多くの病気の原因は悪霊
多くの病気は神あるいは神の代理としての悪霊が罪を罰するためにおこすものとされた。
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それゆえ、呪術師と医者が同一職業であったのだ。
③自然現象と悪霊が原因の病気の2種類
神や悪霊が原因のこのような病気と、より「自然に」おこる病気は区別されることもあったようだ。
④両種の医者も直せない例
どちらの病気かわからない時は、両方の神官が呼ばれることもあっただろうが、結局どちらの神官も直せなかったという苦情もよくあった。
⑤帰納的な医学体系
病気の徴候を集めたものには、夥しい量の病状の説明が、病気の原因の説明と予後診断とともに記されている。
⑥ラマシュトゥの魔除け板
病気除けの護符の中段部分で、治療場面と解釈されている。寝台の両脇に魚姿の祈祷師がおり、左側の祈祷師は右手で病人の頭に何かをふりかけている。左にランプがあることから夜の儀礼を示しているといえる。
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魚衣の人物が、寝台の患者に祈祷=お祓いで、病気を退散させようとする姿を描いているものと思われる。新アッシリア、新バビロニアでは、エリドゥのエンキ信仰がリバイバルしたらしく、エンキの眷属の水神や水神系の賢者が崇拝されていたらしい。呪術的な賢者の神ナブーが、ネブカドネザル時代の最高神となったのである。後のヘルメストリスメギストスへつながる。
⑦薬草の知識
バビロニア人が作った薬草などの調合には、蜂蜜やナツメヤシのシロップなどとともに、明らかに秘密めいた様々な材料が含まれていた。
⑧秘薬
こういう調合物には「シャマシュの薬」「鳩の糞」「蛇の皮」のような奇妙な名が付けられていることが多い。
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水神信仰は、蛇の生命力にあやかろうとしたのであろう。
⑨温冷浴、油の擦り込み、瀉血
ほかにも、温冷浴、油の擦り込み、瀉血などの治療法があった。
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これらの治療法、健康法は、フェニキア人からギリシア人やカルタゴ人に伝承された。
⑩伝染病対策としての虫払いのうちわと下水溝設備
メソポタミアの公衆衛生対策としては、日光を遮る日傘や虫払いのうちわ、便所の設置や汚物を適正に廃棄するための下水溝の建設、戦場における大量の埋葬にむけた塹壕作りなどがあった。
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アッシリアの壁画のうちわは、伝染病を媒介する虫払いの為のものだったのだ!下水設備も、フェニキア人は、カルタゴ人、エトルリア人からローマ人まで伝承した。新バビロニアの王の後ろには、同族としてのフェニキア人高官が立っていたのであろう。
⑪解剖学
占いの指示に使われた肝臓の模型は、解剖学的にみて後の中世ヨーロッパの模型よりも優れている。
⑫医者は専門家/ハンムラビ法典
バビロニアのハンムラビ法典では医者の基本的な専門行為や治療費が定められていた。
⑬医師という専門職の存在
詐欺まがいのことが行われていたことや、医師という専門職業が存在していたことを確認できる。
3、半魚人
①半人半魚
同じように、半人半魚の姿も多くみられる。人間の手足身体をつもが、顔の上に魚の頭部があり、尾びれも背びれもついて魚のからだを背中にたらす髭をはやした男性像である。
②カッシート時代に登場し新バビロニア時代がピーク
カッシート時代に登場し、新アッシリア時代、新バビロニア時代に特に多くなる。
③アケメネス朝も継承
アッシリアの浮彫の影響をうけて、アケメネス朝ペルシア時代にもみられる。
④オアンネス伝説
セレウコス朝時代にもあり、これはおそらく前三世紀のバビロンの著述家ベロッソスが半人半魚オアンネスと記したものである。
⑤ラマシュトゥの魔除け板
ラマシュトゥの魔除け板では、この魚姿の像が病人の寝台の両脇に立っている。そのため、魚の皮か、あるいは実物の魚そっくりに作られた衣装を着た悪魔祓いの神官だと解釈されている。
⑥半人半魚像の浮彫
手に球果と手桶をもつ魚姿の像。イラク カルフ(現ニムルド)出土の浮彫。
⑦呪術の円(ジスルルー)
呪術儀礼において、穀粉で地面に円を描いて境界をつくることがしばしば行われた。これをアッカド語でジスルルー(「粉」の意)という。患者が重篤で動けない場合、寝台の周りをジスルルーで囲んだ。儀礼はこの中で行われ、穀粉でひかれたジスルルーの上に呪術的な小像が巡らされることもあった。
4、占いと護符
①ほとんど確定的未来
未来はある程度決まっているが、将来起こる出来事の何らかの前兆が、シャマシュやアダドなどの神々によって人間に教えられ、これを専門家が専門知識をはたらかせて解釈(占い)することができる、というものであった。
②シュメール起源の内臓占い
シュメールの時代から特に重んじられた内臓占いは、夜間儀礼で、特別に屠殺された仔羊の肝臓、肺、結腸の特徴を観察するものだった。
③占星術
天体の兆候の監察(星占いや気象学)は内臓占いの人気さえも抜き、後の時代にまで残った。
④護符
護符には呪術的な守護力があり、幸運をもたらし、あるいは厄を祓うと信じられていた。
獅子、象、蛇、サソリ、ハリネズミなど、様々な動物をあらわした護符。それぞれの動物が特別な意味をもち、守護力となっていたと思われる。
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フェニキア人は眼の護符が多い。


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